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第2会場の関西学院大学上ヶ原キャンパス |
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関西学院大学博物館 |
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神戸女学院正門 |
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記念撮影 |
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今回は、ウイリアム・メレル・ヴォーリズ(1880‐1964)の設計による、日本有数の美しさを誇る神戸女学院と関西学院大学のキャンパスを訪ねました。同氏は、日本中に1,500以上に及ぶ建築物の設計だけでなく、教育・医療・音楽や詩作、国際交流など幅広い分野で多くの実績を残しました。1919年(大正8年)に神戸女学院大学出身の一柳満喜子嬢と結婚、その後日本に帰化して1941年(昭和16年)以降は“一柳米来留守(ひとつやなぎ めれる)”と名乗りました。
実は、神戸女学院の見学は説明を受けながらの1時間ほどのツアーとなるため、やむなく二班に分かれての見学となりました。
私を含む8名の一班は卒業生の鈴木さんのご案内で、第2会場の関西学院大学からキャンパスを巡りました。キャンパスは美しい建物で溢れており、広々として伸びやかで、このような環境で学べることが大変羨ましく思えました。
上ヶ原キャンパス(1929年・昭和4年築)は、ウイリアム・メレル・ヴォーリズが神戸女学院と同じく設計とキャンパスの構成を手がけました(共に施工は竹中工務店が担当)。正門を入ってすぐの緩やかな斜面に大きな芝生の広場を設け、その先に甲山(かぶとやま)を借景として時計台を配置、 それを取り巻くようにスパニッシュ・ミッション・スタイルの白亜の校舎が配置されています。現在でも、このキャンパスの風景が関西学院大学の象徴として愛され続けている訳なのです。
関西学院大学博物館(時計台2階展示室)では、今日まで開催されていた「関西学院のあゆみ 新天地・上ケ原に馳せた夢・特集陳列 図面にみるヴォーリズの学舎」の展示をじっくりと閲覧させていただきました。
交代して次を見学するため、一班と関西学院学生会館で合流し少し早目の昼食。食後、約25分かけて徒歩で神戸女学院に到着。午後一時から、現役の学生さんの案内で神戸女学院を見学させていただきました。
神戸女学院岡田山キャンパス(1933年・昭和8年築)は、スパニッシュ・ミッション・スタイルの校舎群が立ち並び、アラベスク模様の装飾や建物下半分に茶色系のスクラッチタイルを配するなど“美しい心を育むための品格ある建築”を目指したとされています。神戸女学院はヴォーリズの奥様の母校でもあり、ヴォーリズの最高傑作の一つと評されています。2014年にはヴォーリズ建築における日本初の重要文化財に指定されました。総務館・講堂・ソールチャペル、文学館、理学館、図書館、音楽館、社交館、体育館、渡り廊下、パーゴラ等、何れも素晴らしい建物でヴォーリズのこだわりが感じられます。今も学生達が利用している図書館2階の閲覧室の高い天井に描かれた文様、美しい縦型アーチ型の窓、机に取り付けられたスタンドに、参加の卒業生3名も「懐かしい!」と興奮ぎみでした。総務館に隣接する講堂はアーチ型の天井が特徴的で、2階には大きなパイプオルガンが配されていました。
二つの大学の建物は、神戸の震災で被害を受けましたが、設計者のこだわりと想いを受け継ぎ修復され、これからも愛され続けていくことでしょう…。
美に対する知的な刺激を強く受け、充実した気分で帰途に着いた次第です。
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文/新井律子
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