194
「リ・ライフ」セミナーのご報告
      日時 令和7年5月3日(土)
午前9時10分 ~ 午後4時00分頃まで
場所 「馬見岡綿向神社」
参加人数 12名
テーマ 『日野祭、そこに暮らすひとたちの矜持を…』



曳山の宮入

屋根の上に「だし」

厳馬見岡綿向神社本殿

ボランティアガイドの木瀬昭子さんの旗のもとに

神輿

旧山中正吉邸で記念撮影

祭礼料理の「鯛そうめん」
 今回は、滋賀県蒲生郡日野町に鎮座する馬見岡綿向神社の春の例祭「日野祭」の本祭を訪れました。馬見岡綿向神社は、日野町民には「大宮さん」と呼ばれて親しまれており、日野祭は850年以上の歴史を持つともいわれる祭礼行事です。 毎年5月2日(宵祭)、3日(本祭)、4日(後宴祭)の3日間執り行われ、1985年(昭和60年)に「日野曳山祭」の名称で滋賀県無形民俗文化財に指定されました。 神輿や神子と呼ばれる稚児行列が渡御する「神幸祭り」と、18世紀の初頭から日野町人たちの財力で完成し、現存する16基の山車(曳山)が巡行する「曳山祭り」が併合されているのが特徴です。
 近江八幡駅に集合し、バスで1時間かけて日野に向かいました。バス停では、ボランティアガイドの木瀬昭子さんが私たちを迎えてくださいました。祭りが行われている馬見岡綿向神社へ向かう途中、笛や太鼓の音が響いてきます。境内には、豪華に装飾された高さ約6メートルの曳山がすでに宮入し、整然と並んでいます。壮観な光景です。今年の本祭では、14基が巡行し、そのうち13基が宮入を果たしました。屋根の上には「だし」と呼ばれる人形が飾られています。この人形は毎年異なり、2年連続で同じものが使用されることはありません。「べらぼう」をテーマにした人形も見受けられました。早朝3時に起こし太鼓が鳴り響き、祭りは8時から20時まで行われるとのことです。早起きしてこちらに来ましたが、朝3時からの開始には驚かされました。
 本殿前において本祭祭典の齋行が開始され、神子と呼ばれる稚児たちが巡行の準備を進めています。従来、神子は8歳の男児のみでしたが、今年からは女児も参加できるようになったとのことです。神輿が3基出発し、ひき山に乗った囃子方が力強い祭り囃子を奏でる中、「神子」と称される子どもたちが先頭に立ち、みこしは2.5キロ先の御旅所へ向けて出発します。その光景を見ようと沿道で待つことにしました。日野独自の「桟敷窓」を持つ家々は、日野祭の巡行を屋内から観賞するために設けられています。普段は閉じられている「桟敷窓」が日野祭の際には開かれ、その開口部には緋毛氈や御簾が掛けられ、庭には桟敷が組まれ、家族や親戚が集まって「桟敷窓」を通して通りを行く行列を観ることができます。
 昼食には、近江日野商人の旧山中正吉邸で祭りの料理「鯛そうめん」を楽しみました。
 江戸時代から近江商人の基盤を築き、その中心地として栄え、全国的に名を馳せた近江日野商人と日野祭りは、日野町の繁栄と文化の高さを示しています。850年以上続く日野祭りを堪能し、日野の文化に触れることができた一日でした。
 地元の知識を持つボランティアガイドの木瀬さんにご案内いただき、心より感謝申し上げます。
文/新井律子



 私はスリランカ出身で母国で日本語を勉強した後、日本語力を活かすため、日本に来て現在 横浜で働いています。ゴールデンウィークの休暇中、大阪へ行き暮らし方研究会のセミナーに初めて参加しました。今回のセミナーは滋賀県日野町で行なわれた「日野まつり」の見学でした。
 朝早く家を出て、8時35分ごろ近江八幡の駅で集合しました。そこから日野町まではバスでほぼ1時間ほどかかりました。
 日野町には、いろいろな地域からお祭りを見に来た人々が集まっていて、とてもにぎやかでした。バスを降りたところでは、日野町に住んでいる優しい女性が案内役として出迎えてくれました。
 まず、日野祭りが行われる神社を見学しました。そこには大きな曳山(ひきやま)がたくさん並んでおり、それぞれが美しく飾られていました。年齢を問わず、地域のみんなが参加していて、伝統的な音楽も流れており、とても楽しい雰囲気でした。写真もたくさん撮りました。
 そのあと、町の周りを散策し、伝統的な建築を見学しました。美しい建物にみんな感動していました。お昼ご飯は、日野町にある伝統的なレストランで鯛そうめんとおにぎりをいただきました。とても美味しかったです。
 また、お昼の前にはそのレストランで、日野町で行われる他のお祭りや町の歴史についてのビデオを見ることもでき、学びの多い時間となりました。
日野町で過ごした一日は、楽しくて心に残るとても良い経験でした。また機会があれば、ぜひ暮らし方研究会の方と一緒にこのような見学をしたいです。

横浜市在住 Isara Costa(イサーラ・コスタ)氏 30歳代

 今回のセミナーでは、滋賀県蒲生郡日野町に鎮座する馬見岡綿向神社の春の例祭「日野祭」の本祭を訪れ、地域に息づく伝統と人々の想いに触れることができました。

 日野町では、神社を「大宮さん」と呼び親しまれており、850年以上の長い歴史を持つこの祭りを、今も町を挙げて大切に守り続けているそうです。1985年には「日野曳山祭」の名称で滋賀県無形民俗文化財に指定され、毎年5月2日(宵祭)、3日(本祭)、4日(後宴祭)の3日間にわたって行われています。
神輿や稚児行列による「神幸祭り」と、18世紀初頭から伝わる16基の曳山が町を巡行する「曳山祭り」が併せて行われる日野祭は、壮麗さと格式を兼ね備えた祭礼でした。
中でも驚いたのは、巡行の道筋に一本の電柱もないこと。すべての電柱が個人の屋敷内に建てられており、町全体が祭りのために整えられていることから、伝統ある祭りへの住民一人ひとりの熱い想いがひしひしと伝わってきました。

 また、日本で唯一であるという日野独自の建築様式「桟敷窓(さじきまど)」の存在も非常に印象的でした。普段は閉ざされているこの窓が祭りの日には開かれ、緋毛氈(ひもうせん)や御簾で美しく飾られた窓越しに、家族や親戚が集まり、曳山の巡行を見守る姿は、まさに「暮らしの中にある祭り」の象徴です。
一部の桟敷窓は一般の訪問者にも開放されており、観光客への温かなもてなしの心も感じられて、心が和みました。

 昼食には、近江日野商人の旧山中正吉邸にて、伝統の祭礼料理「鯛そうめん」と「塩むすび」をいただき、地域のもてなしの文化に触れることができました。
また、邸内では日野の歴史や文化に関する史料を見学したり、桟敷窓越しに巡行を眺めたりと、日常では味わえない貴重な体験をすることができました。

 このセミナーを通して、単に「伝統行事を見学する」のではなく、「地域に生きる人々の矜持とつながる」ことの尊さを体感しました。日野祭は、まさに“暮らしの中にある文化遺産”であり、日本の地域文化の奥深さを改めて教えてくれる時間となりました。
一人でも多くの方に、日野の町を訪れ、その静かな熱気と豊かな文化に触れていただきたいと心から思います。

茨木市在住 北村胡音氏 10歳代(大学生)

E-Mail:ask@kurashikata.gr.jp
フリーダイヤル:0120-11-6584いい 老後やし! FAX:06-6356-7225
Copyright(C) 暮らし方研究会.AllRightsReserved.