終の棲家・訪問記(1)


「家は引き算、庭は足し算」

 研究会の「終の棲家」推奨プラン(日本の民家・24坪タイプ)を建てられたお宅を13年ぶりに訪問しました。
「何も手を加えず、快適に暮らしています。まさに終の棲家です。」と嬉しいお言葉をいただきました。

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〇新築時の「施主からの一言」

 駅に降り立つと、色付いた稲穂が晩夏の心地良い風に揺れ、美味しい空気となって身体の中にすっと染み渡っていきます。田んぼ道をのんびり歩いて行くと、宇陀川のせせらぎの向こう側に、いぶし銀の美しい大屋根の我が家が佇んでいるのが見えてきます。宇陀川沿いの田畑の多いこの土地に調和した「日本の民家」。我が家が無事に完成した今、言葉では言い尽くせない程の感激の思いと、感動で胸が一杯です。
 新井律子先生と津島さんとの運命的とも言える出逢いから、今現在に至るまで、本当に沢山の時間と日数を費やしました。何回もの打ち合わせで、その都度私たちが、何気なく口にした事や、どんな小さな事でも、次にお会いする時には、必ず漏らさず、見積もりや資料等にして提出して下さった事、現地に何度となく足を運んで下さった事にとても感謝しています。
 今回、新井先生に新築のお願いをした理由は、モダンな建築から自然素材を使った建築まで、幅広いお仕事をされていた事に魅力を感じたからです。そこから、私たちが希望する住まいの雰囲気や、現在住んでいる家での暮らし方や思いなどをお話しする時間を沢山取って頂き、その中で徐々にこれから建てたい住まいの形が、はっきりとしていきました。打ち合わせをしていく中で、こういった思いを形にしていく作業に、妥協をせず、より素敵な住まいを作り上げていく為には、本当に長い長い時間が必要であると感じました。
 プロの意見とプロの仕事、その中に私たち素人の意見や思いをとても上手く取り入れて下さり、私たちの不安材料は少しずつ解消されていきました。私たちの暮らし方に対する思いや考え方が今回建てた「日本の民家」に凝縮されているように思います。
 「自然とともに謙虚に建てて、控えめに暮らす」という言葉を残された建築家、吉村康雄氏の暮らし方に対する考え方は、私たちが目指し、日々こう有りたいと思うものでした。広縁に腰を下ろすと目の前の宇陀川のせせらぎが聞こえ、家の中にすっと風が通り抜ける心地良さ、雨の日でも窓は開け放ったままでも過ごすことができるのは大きく深い瓦屋根のお陰。そして部屋いっぱいに広がる杉の木の香り。
 当初、「雨露がしのげる小さな平屋」を希望していましたが、完成していく我が家を見ながら、私たち家族にとって、どこを取っても申し分のない立派な住まいが出来あがりました。 「家は引き算、庭は足し算」と主人はよく言っています。今後、庭には沢山の草花、樹木などが植えられ家庭菜園などもする予定です。そして十年後にはそれらに埋もれ、見え隠れする瓦屋根の我が家が、その風格を見せてくれるでしょう。これから四季を通して、一年一年この家と共に年を重ねていくことが今からとても楽しみです。
 シリーズ「日本の民家」、熟年向けパイロットハウスということですが、ぜひ若い方にお勧めしたいと思います。この心地良さは、病み尽きになりますよ。
 最後になりましたが、工事を安全に、かつ丁寧に進めて下さった宏聞建設工業の皆様に感謝の気持ちで一杯です。本当に有難うございました。
 若くして"ついの住み家"を手に入れてしまった私たちは、本当に幸せです。


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